討たれざるもの

澤田ふじ子著。時代に翻弄されながら生きる男と女の哀歓をつづる6編。この作家の作品には細やかな蘊蓄のある描写が随所に散りばめられている。
「討たれざるもの」は絵師の話だが「一文字は二人静金襴、中廻しと風袋は白地小牡丹唐草金襴、天地は浅黄地杷でされていた。」など経師屋の描写がさりげなく書かれている。