心の影

藤沢周平晩年の名品。「江戸おんな絵姿一二景」と広重「名所江戸百景」より短編が散りばめられている。柔らかな肌のような女心の影を落としていく作品。広重の「竹河岸」を見ながら、そこに描かれている人のふとした表情から物語の中にとけ込んでいくような気持ちになる。「大はし夕立少女」には、急に降り出した夕立に帰りを急ぐ少女が描かれている。少女の生い立ちに心情に重ねて、雷鳴が轟く極めて短い時間に迷い込んだ。

日暮れ竹河岸 (文春文庫)

日暮れ竹河岸 (文春文庫)

横山秀夫の警察小説。主人公は忍込みのプロ。焼死した双子の弟の無念を重ねながら切ないハードボイルドだ。
影踏み (祥伝社文庫)

影踏み (祥伝社文庫)